貨物利用運送事業とは?第一種・第二種の違いと必要な手続き

自社では運ばず、荷主から受けた仕事を協力会社に手配して運んでもらう。あるいは、鉄道や船・航空と組み合わせて、集荷から配達まで一貫で請け負う。こうした「自分の車では運ばない運送」を事業として続けるとき、どんな許可・登録が要るのか——。運送会社の経営者・管理者の方から、「うちがやっているのは利用運送なのか」「第一種と第二種は何が違うのか」というご質問をいただくことがあります。

先に、要点をまとめます。

問い答え
利用運送とは運送事業者の運送を利用してする貨物の運送。自分の車で運ばず、他社に運ばせる形態1
第一種と第二種の分かれ目登録(第一種)か、許可(第二種)か。第二種は「幹線(船・鉄道・航空)+前後の集配を一貫」で行うもの1
トラックで委託して運ばせる場合委託先が一般・特定貨物自動車運送事業者なら、貨物自動車運送事業法上の**「貨物自動車利用運送」**として事業計画に位置づける。軽貨物事業者のみを利用する場合は別の整理(後述)234
無登録・無許可の営業罰則あり。第一種の無登録は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、第二種の無許可は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金1

以下、「利用運送とは何か」から順に、自社がどの枠に当たるかを判断できるよう整理します。

「利用運送」とは何か——自分で運ばないのに運送責任を負う事業

貨物利用運送事業法は、利用運送を「運送事業者の行う運送を利用してする貨物の運送」と定めています1。かみ砕くと、荷主から運送を引き受けたうえで、実際の運送そのものは他の運送事業者に任せる形態です。トラックを1台も持たなくても成り立つ事業で、いわゆる「水屋」や「フォワーダー」と呼ばれる仕事の多くがここに含まれます。

ここで大事なのは、荷主に対する運送責任を負うのは、実際に運ぶ会社ではなく、利用運送を引き受けた会社だという点です。取次(運送の申し込みを取り次ぐだけ)とは違い、利用運送は自分が荷主に対して運送を引き受け、その履行手段として他社の運送を使います。だからこそ、誰でも自由にできるわけではなく、事業として行うには国土交通大臣の登録または許可が必要とされています。

そして貨物利用運送事業は、大きく第一種第二種に分かれます。この2つを分けているのは、「利用する運送のモード」と「集荷・配達(集配)まで一貫して請け負うかどうか」です。

第一種と第二種の違い——「登録」か「許可」か

貨物利用運送事業法は、第一種と第二種を次のように定義しています1

区分定義の要点参入手続き
第一種貨物利用運送事業他人の需要に応じ、有償で利用運送を行う事業のうち、第二種以外のもの国土交通大臣の登録(第3条)1
第二種貨物利用運送事業船舶・航空・鉄道の運送に係る利用運送と、その利用運送に先行・後続する集配(自動車による運送)を一貫して行う事業国土交通大臣の許可(第20条)1

読み解くと、分岐点は2つです。

第一に、利用するのが「幹線モード+一貫集配」かどうか。 第二種は、船・航空・鉄道といった幹線輸送の利用運送に、その前後のトラック集配を組み合わせ、荷主に対して戸口から戸口まで(ドア・ツー・ドア)を一貫で引き受ける事業です。たとえば「荷主の倉庫で集荷し、鉄道コンテナで幹線を運び、着地でトラック配送する」までを自社が一手に請け負うと、第二種にあたります。これに当てはまらない利用運送は、原則としてすべて第一種です。

第二に、手続きが「登録」か「許可」か。 第一種は登録制、第二種は許可制で、第二種のほうが参入のハードルが高く設定されています。集配まで含めて一貫サービスを提供する分、荷主に対する責任範囲が広いためです。

なお、第一種・第二種のいずれも、利用する運送機関(鉄道・内航・外航・国内航空・国際航空など)ごとに手続きの区分が分かれています5。「第二種の許可を1つ取れば何でもできる」わけではなく、どのモードを使うかまで含めて手続きが決まる点に注意してください。

トラック運送会社の「委託」はどちらに当たるか

ここが、運送会社にとって最も混乱しやすいところです。「うちは繁忙期に協力会社へ委託しているが、貨物利用運送事業の登録が要るのか?」という問いです。

結論から言うと、自社の車で運ぶ一般貨物自動車運送事業者が、他の一般貨物自動車運送事業者または特定貨物自動車運送事業者に委託して運ばせる形態は、「貨物自動車利用運送」にあたり、貨物自動車運送事業法の枠内で扱います。同法は貨物自動車利用運送を「一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業を経営する者が、他の一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業を経営する者の行う運送を利用してする貨物の運送」と定義しています2。軽貨物事業者への委託は、この定義には含まれません。

これは一般貨物自動車運送事業の事業計画に位置づけて行います。すでに認可を受けた事業計画に貨物自動車利用運送が含まれている場合は、その計画の範囲で行います。一方、既存の事業計画に含まれていない場合は、委託を始める前に、貨物自動車運送事業法に基づく事業計画の変更認可申請が必要です23。単に社内の事業計画へ追記すれば足りるわけではありません。

このように、自社で実運送を行うトラック事業者が、他の一般貨物自動車運送事業者または特定貨物自動車運送事業者の実運送を利用する場合、貨物利用運送事業法の第一種登録は必要ありません。ただし、利用する相手が実運送を行う事業者ではなく利用運送専業者である場合は、第一種貨物利用運送事業の登録が必要です3。相手がどの資格で運送を引き受ける事業者なのかまで確認して分ける必要があります。

一方、貨物軽自動車運送事業者のみを利用する運送は、貨物利用運送事業法による第一種登録の対象外です4。同時に、一般・特定貨物自動車運送事業者間の「貨物自動車利用運送」とも区別されます。軽貨物への委託だから第一種登録が必要になるわけではありませんが、黒ナンバーの確認や実運送体制管理簿など別の義務は残り得ます。詳しくは「軽貨物への外注も実運送体制管理簿に載る」も確認してください。

一方で、貨物利用運送事業法の第一種・第二種が問題になるのは、おおむね次のような場合です。

  • 自社では実運送を行わず(トラックの許可を持たず)、利用運送だけを業として行う
  • 船舶・鉄道・航空といった、自動車以外のモードの運送を利用する
  • 幹線モードの利用運送に前後の集配を組み合わせ、一貫サービスとして引き受ける(=第二種)

自社の形態がどちらの枠に当たるかは、事業の実態(実運送の有無・利用するモード・集配を含むか)で決まります。判断に迷う場合は、営業所を管轄する地方運輸局に確認するのが確実です。本記事は制度の全体像を示すもので、個別の該当性を確定するものではありません。

手続きと、無登録・無許可のリスク

手続き面では、第一種が登録、第二種が許可で、利用するモードごとに申請書類が分かれます5。令和8年(2026年)4月1日からは、**第二種貨物利用運送事業の許可申請(鉄道・内航)**と、輸送機関として鉄道または内航を追加する変更認可申請を、e-Govでオンライン申請できるようになりました6。第一種や、これら以外の手続きまで一律にオンライン化されたわけではないため、対象外の申請方法と提出先は国土交通省・地方運輸局の案内で確認してください。また、登録・許可の後にも、約款・運賃料金・定期報告に関する手続きがあります。

具体的には、第一種・第二種とも、利用運送約款を定めて国土交通大臣の認可を受ける必要があります。ただし、国土交通大臣が定めた標準利用運送約款と同一の約款を使用する場合は、認可を受けたものとみなされ、個別の認可申請は不要です7。また、運賃・料金を設定または変更したときは、設定・変更から30日以内に地方運輸局長または国土交通大臣へ届け出ます。事業開始後も、営業報告書と事業実績報告書の定期提出が必要です7

さらに、2026年4月1日から貨物利用運送事業者にも運送契約締結時の書面交付義務が及びます。真荷主との契約では法定事項を記載した書面を相互に交付し、自社が直接の委託先へ運送を委託するときは委託先へ書面を交付します。交付した書面の写しは原則1年間保存します8。書面の記載事項やメールで交付する条件は「運送契約の書面交付義務」で整理しています。必要書類や提出先は事業の種類・利用するモードで異なるため、開始前に管轄窓口の案内を一式確認してください。

そして見落とせないのが、無登録・無許可で事業を行った場合の罰則です。貨物利用運送事業法は、登録を受けずに第一種を経営した者を1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、許可を受けずに第二種を経営した者を3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(いずれも併科あり)と定めています1。「実際に運ぶのは他社だから」と軽く考えて必要な登録・許可を欠くと、事業そのものが違法になり得ます。

委託が多層化する現場では、この「誰がどの資格で運送を引き受けているか」が曖昧になりがちです。下請け階層の話は多重下請けは何次まで?でも整理していますが、階層のどこかに無資格の引き受けが混じれば、そのリスクは委託した側の確認義務にも跳ね返ってきます。

実務チェックリスト

自社の事業形態を確認するためのチェックリストです。

  • 自社が荷主に対して運送を引き受けているか(取次にとどまらず、運送責任を負っているか)を整理できているか
  • 実際の運送を他社に委託している業務について、その形態を把握しているか
  • 一般・特定貨物自動車運送事業者への委託分は、認可を受けた一般貨物の**事業計画上の「貨物自動車利用運送」**として位置づけられているか。未記載なら開始前に変更認可を受けたか
  • 軽貨物事業者のみを利用する運送を、貨物自動車利用運送や第一種登録の対象と混同していないか。黒ナンバー確認など別の義務を確認したか
  • 船舶・鉄道・航空を利用する運送、または実運送を伴わない利用運送を行っている場合、貨物利用運送事業(第一種・第二種)の登録・許可の要否を確認したか
  • 幹線+集配の一貫サービスを提供している場合、第二種の許可が必要かを運輸局に確認したか
  • 利用運送約款について、個別認可を受けるか、標準利用運送約款と同一のものを使用するかを決め、必要な手続きを済ませたか
  • 運賃・料金の設定または変更から30日以内に届出を行う運用と、開始後の定期報告の担当・期限を決めているか
  • 2026年4月1日以降、真荷主との相互書面交付、直接の委託先への書面交付、写しの保存を行う運用があるか
  • 委託先が、自社が委託する運送について必要な許可・登録を備えているかを確認できる状態か

まとめ——「誰に運ばせているか」を辿れることが責任の起点

貨物利用運送事業は、「自分で運ばないのに運送責任を負う」という特徴を持つ事業です。第一種と第二種の違いは、突き詰めれば登録か許可か、そして幹線モードと集配まで一貫で引き受けるかどうかに集約されます。トラック事業者が他の一般・特定貨物自動車運送事業者へ委託する場合は、認可を受けた事業計画のもとで貨物自動車運送事業法の「貨物自動車利用運送」として扱いますが、未記載なら変更認可が必要です。軽貨物事業者のみを利用する運送は、この分類にも第一種登録にも含まれません。また、利用する相手やモード、実運送の有無によっては、貨物利用運送事業法の登録・許可が必要になります。どちらにせよ、必要な認可・登録・許可を欠いた営業には法令上のリスクがあり、委託した側にも確認の責任が及びます。

利用運送であれ委託であれ、共通するのは、自社が誰から預かり、誰に任せたかを記録し、必要な情報が元請まで届く連絡経路を持つことが責任の起点になる、という点です。自分の車で運ばない以上、事故・監査・荷主への通知が必要になったとき、各事業者が直接の委託先を確認でき、元請が最終的な実運送事業者の情報を把握できる状態でなければ、責任を果たせません。

運送番頭は、この委託——誰から預かり、誰に任せたか——を、日々の配車業務のなかで一つの連鎖として記録します。中間の運送会社に見えるのは、自社が受けた取引と直接の委託先までで、孫請け以降を貫通して一覧表示するものではありません。その代わり、自社が次に誰へ確認すべきかを記録から辿れます。元請・真荷主は、必要な範囲で下位階層の実運送情報を確認できます。利用運送や委託を重ねるほど責任の所在は見えにくくなるからこそ、それぞれの会社が直接の受け渡しを業務のなかで残し、必要な情報を元請までつなげられる状態にしておくことが、現実的な備えになります。

脚注

  1. 貨物利用運送事業法(e-Gov 法令検索)第2条(定義)・第3条(第一種の登録)・第20条(第二種の許可)・罰則 https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000082 2 3 4 5 6 7 8

  2. 貨物自動車運送事業法(e-Gov 法令検索)第2条(貨物自動車利用運送の定義)・第4条(事業計画への記載) https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000083 2 3

  3. 国土交通省「Q49. トラック事業者が他のトラック事業者を利用する場合、貨物利用運送事業の登録が必要か」 https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_fr3_000050.html 2 3

  4. 近畿運輸局「貨物利用運送事業について」(軽貨物事業者のみを利用する運送の取扱い) https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/tetsuzuki/riyou_00001.html 2

  5. 国土交通省「貨物利用運送事業に関する諸手続」(申請区分・申請書類) https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn3_000002.html 2

  6. 国土交通省「第二種貨物利用運送事業(鉄道・内航)に関するオンライン申請」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000136.html

  7. 北海道運輸局「貨物利用運送事業について」(利用運送約款、運賃料金の届出、定期報告) https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/bunyabetsu/jidousya/k_riyou/index.html 2

  8. 国土交通省「改正貨物自動車運送事業法Q&A(令和8年3月31日時点)」(貨物利用運送事業者への書面交付義務の準用) https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001993962.pdf

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